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冷えなくなった    v1.00 (2006/10/09)


松下 NR-C35V2 家庭用冷凍冷蔵庫 が冷えなくなった修理

【機種】

松下 NR-C35V2 家庭用3ドア冷凍冷蔵庫
(放熱器内蔵型、冷凍室/冷蔵室〔パーシャル室内臓〕/ボトル&野菜室、ミドルサイズ)


【概要】

「買ってから15年経った電気冷蔵庫が3室共冷えなくなった」からの復元(1件)


【故障履歴】

買って間もなくだったが今回同様全く冷えなくなってしまい、購入電器店から要請を受けたメーカー営業所サービスマンの出張修理を受け、この時は冷凍室裏部分の冷却器に霜が付いたままだったのでこれを強制的に引き剥がし除去した上で、最下部内臓冷却ユニットのガス漏れで冷却ユニットを溶接交換するという修理内容だった。


【症状】

冷蔵庫を買って以来、3室共温度調節は「中」でずっと使用し続けて来たが、通常なら最上段の冷凍室は中に置いてある製氷皿の水は凍っており、ドアを開けた時に冷気が漂って吐出されて来るし、中段の冷蔵室は置いてあるビン・缶類を触ると「良く冷えているな」という冷たさを感じるし、最下段の野菜室の野菜は触ると「ひんやり」冷たさを感じるものだったが、この日は冷蔵室のドアを開けると差し入れた手に生暖かさを感じビン・缶類が全く冷えていない事に気付き、冷凍室のドアを開けてみると冷気どころか製氷皿の氷が溶けて水になってしまっていた上、野菜室の野菜はというと「ひんやり」していなかった事から、3室共冷えなくなってしまったようだった。


【応急処置】

手を差し入れた時に逆に生暖かさを感じたぐらいなので霜取りのヒータの熱で庫内温度が上昇したと思われ、冷えない冷蔵庫で貯蔵している中身ををそのままにしておくと、中の牛乳や豆腐等傷みやすいものからどんどん腐り始めるので、取敢えず冷蔵庫中身を他の冷蔵庫へ移し変えるか又は他から大量の氷を持って来て氷での代用冷蔵をする必要があります。


【修理方針】

電気冷蔵庫が冷えなくなる故障原因には、@コンプレッサー・モーターが壊れた(モーターの唸り音がしない)Aコンプレッサー・モーター制御回路不良(モーターの唸り音がしない事が多い)B冷却ユニットのガス漏れ(モーターの唸り音は正常にする)等がありますが、昨今の冷蔵庫は冷却ユニット交換に溶接が必要だったりして素人には手に負えづらくなっています。

買ってから15年が経過した筆者の冷蔵庫がある日突然冷えなくなったので、メーカーの補修部品最低保有年限は製造打ち切りから9年という事を考えると買い替えも止むを得ないかなーと考えつつ、以前修理してもらった時にサービスマンが冷却器に霜が付いていたのを剥がしていた記憶があったので、それぐらいなら自分でも出来そうだったのでそれをやってみることとし、コンプレッサー・モーター回路のコンデンサーやリレーも原因だったりするそうなので、手持ちテスターでそれぐらいの点検なら出来そうと思い、取敢えず冷蔵庫裏ブタ等を開けてみる事に。


【修理難易度】   ○容易   普通    やや難   かなり難

プリント基板コネクタ抜き差し経験(と、もし有ればテスター〔回路計〕とその使用経験、電子部品知識)等が必要。


【修理必要工具等】

ドライバー(ネジ回し)、  掃除機(口細ノズル、ブラシノズル)

(テスター〔回路計〕)


【修理手順】

§1 温度調節チェック

各室の温度調節を最も「強」の状態に設定しても全く冷えないのかをチェックします。

温度調節を最も「強」状態に設定して少し冷えるようなら、サーモスタット等の温度調節機能がずれたとか温度調節回りの不具合ですが、全く冷えませんでしたから完全に壊れているようでした。

§2 庫内貯蔵品退避応急処置

電気冷蔵庫が壊れたまま通電状態にして置かない為に、先ず電気冷蔵庫の電源コード・プラグをコンセントから抜いて置きます。

氷があれば庫内の温度を下げる為に取敢えず入れて、庫内貯蔵品をどうするか考えますが、他に冷蔵庫が有って一部なりともそちらへ移せるようなら、牛乳や豆腐等傷み易いものから順に移して行きます。

魚等冷凍品の通い箱として良く使われている白い発泡スチロールで作られた蓋付きの大きな所謂「雪箱」や市販クーラー・ボックスがあれば、氷と一緒に入れることで即席の氷式冷蔵庫として使えますからそうします。

調味料や野菜類は多少日持ちが落ちますが、日の当たらない冷暗所に置く事でしのぐことが出来ます。

全く封を切って無かったり、栓を開けて無いビール・新品瓶詰め缶詰等は適当な所に置きます。

最終的には貯蔵品を全て庫内から取り出して中を空にします。

§3 取扱説明書チェック

冷蔵庫のお掃除の仕方やお手入れの注意点等、取扱説明書で参考になる事をチェックして置きます。

お手入れに使ってはいけないものや、水洗いの仕方、仕切り棚等の部品の取り外し・取り付け方、「電源プラグを抜いたらコンプレッサー(圧縮機)への負担を減らす為に5分間以上間を開けて差し込んで下さい」等が書かれています。

§4 冷凍室内分解チェック

冷凍室内のトレー等、先ず手でそのまま取り外せる物を取り外しますが、再取り付けは取り外しの逆の順序で行いますからそれを考慮しながら取り外した物を並べて行くと良いでしょう。

冷凍室内左横壁部品の裏側に長い線に繋がった温度センサーが嵌(は)め込まれていますから、線を切らないように注意しながら左横壁部品を外して、元に戻す時に困らないように温度センサーの嵌め込まれ方を確認して置きます。

最後にネジ止めしてある冷凍室内奥の壁部品を外すと、フィン冷却器とファンが見えて来ます。

フィン冷却器に霜が着いていたら取り除きますが、この時フィンが折れ曲がったりなびいていたりしたら、風が均一に通り易く冷却の効果が上がるように形を整えてやります。

ファンがちゃんと正常に回っているのか確かめる為に、電源プラグをコンセントに差し込みますが、冷凍室ドアが開いている間は回らないようなので、ドアを閉めて1・2分経ってからドアを開ければ、正常なら慣性でファンが回り続けているのを確認出来る筈です

ファンの回転の有無を確認したら、再び電源プラグをコンセントから抜いて置きます。

点検チェック後、元のように壁部品を取り付け、冷凍室内にあったトレー等も元通りに戻して置きます。

今回はフィン冷却器に霜は着いておらず、フィンの一部がなびいて変形していただけなので、手で形を整えてから取り外した物を逆の順で取り付けて行きました。

§4 冷凍室背面分解チェック

冷蔵庫背面を手前に持って来るように回転させるか、裏側に回り込めるよう冷蔵庫を手前に引っ張り出すかして、冷蔵庫背面の点検チェックが出来るようにします。

冷凍室背面にネジ止めしてある蓋を取り外すと、冷蔵庫の制御基板が現れますが、電源コードを挟み込むようにネジ止めされていますから、元に戻す時に困らないよう電源コードの挟み込まれ方をチェックして置きます。

大昔の電気冷蔵庫はコンプレッサー・モーターをサーモスタットでON/OFF制御するだけの単純なものでしたが、昨今の電気冷蔵庫はマイクロ・コンピュータ制御で微妙にコンプレッサー・モーターを温度調節制御出来るようになっており、その為の制御基板(プリント基板)が組み込まれています。

制御基板上には、ムカデのように狭い間隔で足が一杯並んでいるIC(集積回路)や制御基板から出て行く線を取り外せるようにする接続コネクタ(端子)等の部品が取り付けられています。

この種の制御基板では基板上の部品故障が原因で誤動作(運転故障)する場合の他、稀(まれ)に付着した埃(ほこり)がICの狭い間隔で並んでいる足相互の絶縁トラブル誤動作を引き起こしたり、接続コネクタの接触面金属表面劣化により接触不良誤動作を引き起こしたりする場合があります。

それで掃除機で口細ノズルとブラシノズルを使い分けながら、制御基板上の埃を吸い取り、その後接続コネクタを引き抜いて2・3度抜き差しして元のように差し込んで置くと良いでしょう。

但し、接続コネクタには方向性が有る物が有って、向きが逆だと差し込めないようになっていたり、簡単に引き抜けないようにロック機構が付いていてロックを外しながらつまり引き抜く時に引っ掛かりが外れるようにある部分を押しながら引き抜いたりする等ちょっとしたコツが必要な場合が有る他、逆向きでも差し込める為に線の色分けで区別していたり、色分けも無く互い違いに間違って差し込んでしまう可能性を持ったまま組み立てられていたりする場合がありますので、元の状態と異なった状態にならないよう抜き差しは注意深く1つづつ行う必要が有ります。

もし、テスター(回路計)を持っていて電子部品知識も有るという方は、コンプレッサー・モーター回路のコンデンサーやリレー等という部品故障も原因だったりするそうなので、テスターでそれらの部品チェックを併せて行って置くと良いでしょう。

今回は、実際には殆ど埃が付いていなかったのですが一応掃除機で埃を吸い取る操作をし、接続コネクタを抜き差しし、テスターでそれらしい部品をチェックしましたが異常は無さそうでした。

§5 ボトル&野菜室背面分解チェック

冷蔵庫下段のボトル&野菜室背面にネジ止めしてある蓋を取り外すと、コンプレッサーモーターが現れましたが、蓋には通気用の穴が一面に細かく開けられた窓が備わったようになっており、その窓部分に1cm厚くらいのスポンジが貼られていました。

一般にこの種のポリウレタン・スポンジは経年劣化し易く、製造後15年も経っているとボロボロに崩れていても可笑しく無いものですが、案の定一部が剥(は)がれてコンプレサー・モーターに張り付いたようになっていました。

コンプレッサー・モーターは黒いビニールようなもので覆ったような感じですが、その上部部分に剥がれたスポンジの欠片(かけら)が張り付いているといった感じでした。

コンプレッサー・モーターの過熱を防ぐ為に、コンプレッサー・モーターに温度センサーを内臓する場合がありますが、そうだとするとこのように断熱保温性の高いスポンジが張り付いていては、厚着して寒い外でも寒さを感じないように、折角蓋に通気孔が開けられていてもコンプレッサー・モーターが室内空気循環での冷却効果を受けにくく、温度センサーの働きで過熱状態だとして運転停止に至ってしまいそうでした。

スポンジ以外にもゴキブリの糞(ふん)と思われる米粒大かそれより少し小さいぐらいの糞がコンプレッサー・モーターやその周辺にビッシリという状態、所謂糞だらけ状態でした。

冷蔵庫を動かしただけで床にポロポロ大量に落ちましたが、それ以上の量がまだコンプレッサー・モーター回りに有りました。

どうやらゴキブリにとっては、コンプレッサー・モーターの温(ぬく)もりが格好の塒(ねぐら)になったようです。

余談ですが、かって筆者のバイト先の他社事務所に置かれていた自動お茶コーヒー湯沸し器(リース会社提供品)内のヤカンに当たる内部にゴキブリが何匹か入って死んでいた例があり、原因はヤカンに当たる部分の蓋がきちんと被さっておらずに隙間が出来ていてそこから入り込んだらしいのですが、「ゴキブリも風呂に入りたかったのかなー、ええダシが出とったやろなー」と苦笑い、そんな事とはつゆ知らずそこの職場全員が飲み続けていたものでした。

ともあれ多分、当冷蔵庫のコンプレッサー・モーターにとっては剥がれて張り付いた先のスポンジだけでなく、この大量のゴキブリの糞も断熱保温材として効いていたのではないかと思われます。

そこで、掃除機で剥がれて張り付いたスポンジとゴキブリの糞を吸い取って、綺麗にしてから蓋を元に戻して置きました。

§6 冷蔵庫の再始動チェック

以上のような分解掃除チェックを終えて、電源プラグをコンセントに差し込んでみたら幸運にもコンプレッサー・モーターが唸(うな)り、動き出したようでした。

無事冷えるかどうか確認する為に、製氷皿に水を満たして冷凍室にセットして暫く様子を見ることにしました。

結果は無事氷が出来ましたので、どうやら冷えなくなったのが直ってしまったようでした。


【修理結果】

今回、(1)制御基板の埃(ほこり)除去 (2)接続コネクタの抜き差し (3)コンプレッサー・モーターに張り付いたスポンジ除去 (4)コンプレッサー・モーター回りのゴキブリ糞(ふん)除去という処置をした訳で、正確には何が効いたのか分かっていませんが、多分(3)と(4)が効いたのではないかと思っています。

これで動かなければ買い替えも止む無しかなーと思っていましたので、駄目元でやってみるもんですねーというところでしょうか。



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