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ドア・スピーカー破損 v1.00 (2002/06/01) |
ホンダ シビック のドア・スピーカー雨漏り破損 |
【概要】
ドア取り付けのSP(スピーカー)が雨漏りと経年劣化で、SPコーン紙がやぶれており、更にウレタンエッジが風化してポロポロと剥(は)がれる状態の破損からの復元
【症状】
音にビリ付き感が伴ったり、いわゆる「割れた音」に感じられて聞き苦しい状態になってしまった。
【他社SPでの代用その他】
純正SPは口径(SPの大きさを示し13.5cmФ)、バッフル板取り付け穴数(3点止め)、SPフレーム形状(はめ込み専用の外周部分が凸型特殊形状)、SP端子(2Pオス型ソケットコネクタ)において特殊仕様品であり、市販SPで多く見掛ける16cmФや12cmФの4点止め外周平坦型、2P汎用裸端子とは大きく違っていた。
我慢して割高な純正スピーカーを入手して取り付けるか、一回り小さい口径の市販SPを「取り付けアダプター」を介して取り付けるかしか有りません。
ところで車のドアは、内側と言えども大雨の中乗り降りで開閉された時にもろに雨粒が当たる宿命の所であり、幾らドアのウィンドウ・ガラスの所からの雨漏りを防ぐよう考慮されていたとしても、水に弱い紙コーンタイプのSPを搭載すべきではないと筆者は考えます。
更に海岸で直射日光の当たる中ドアをあけっぱなしにしてカーステレオを聞いているレジャー風景を良く目にしますが、SPが直射日光や経年変化で劣化しやすいウレタンエッジを採用していては直ぐに本件故障のようなウレタンエッジが風化してポロポロと剥(は)がれる状態の破損に至ってしまいますので、この点からもSP材質の選定に問題有りと言わざるを得ません。
つまり筆者に言わせれば本来直射日光や雨粒の当たらない室内オーディオ向きSPを車載してしまった設計ミスで、ドアSPとして搭載したければ耐水・耐光性のある水中用SPとして作られたものにすべきと考えます。
【修理方針】
純正スピーカーを入手して交換する分にはドライバー(ネジ回し)1本で簡単に修理出来てしまいますが、ここではあえて廃品の12cmФSPをリサイクル活用することにして元のSPフレームから「取り付けアダプター」を製作して取り付ける方法を紹介します。
【修理難易度】 容易 普通 やや難 ○かなり難
ハンダ付け経験とSP端子極性知識等が必要。
【修理必要工具等】
ハンダごて、 ヤニ入りハンダ(少々)、 テスター(回路計)、
ニッパー(絶縁被覆はがし用)、 ドライバー(ネジ回し)、
錆(さび)取りブラシ(鋼線製、真ちゅう製またはスチールたわし)、
金切りのこ、 絶縁ビニルテープ、 リード線(40cm位)
【修理手順】
車のドアからSPを取り外します。
外したSPの横から見た形を底の高いどんぶりを横から眺めた感じに例えると、どんぶりの底部分にあたる所に強力な磁石が配置されています。
この磁石を挟(はさ)んだ鉄心から4枚の花弁が花開いたように鉄製のSPフレーム(枠、骨組み)が接着固定されています。
上記したようにこのフレーム最外周部分は、ドアのSPポケット部分に専用的にはめ込む形の凸型特殊形状になっていますので、一回り小さい口径の市販SPを取り付けるようにする「取り付けアダプター」にもこの「はめ込む形の凸型特殊形状」を形成させる必要が有りますが、これは専用プレス機で形成されており、手作り不可能でプレス屋さんにしても大量の注文でも入らない限り金型代償却がままならず、仕事として請け負わないでしょうから、一般的には互換SPや「取り付けアダプター」が販売される可能性は殆ど無いでしょう。
そこで元のSPのフレームを利用して「取り付けアダプター」を製作するしか方法が有りませんので、そうすることにします。
又、SP端子(2Pオス型ソケットコネクタ)も専用コネクタ方式なので、このハトメ止めしてあるソケットコネクタを外して活用することにします。
元の純正SPの電気的仕様は不明ですが、今回転用するSPは12cmФのパイオニア製カーステレオ用コアキシャル2ウエイSP「TS−108」で、仕様は定格入力10W(最大20W)、インピーダンス4Ω(オーム)です。
この再利用パイオニア製SPもウレタンエッジで劣化が進み風化してポロポロと剥(は)がれる寸前の状態でしたが、そのうちに又交換が必要になるかも知れませんし、或いは現在壊れていない反対側のSPが先に壊れてしまう可能性も有りますので、左右アンバランスでも取りあえず音が出せればいいということで今回は壊れた方のSPだけ交換して使うことに。
家庭のリスニングルームで聞くステレオと違い車内では最適のリスニングポイントに座れないので新車の状態でも正確なステレオフォニック再生聴取は元々無理で、ドアSPの位置関係ではヘッドフォンステレオに近いのでバイノーラルステレオと言え、BGM程度に聞こえれば良いと割り切ってしまえば、左右の出力音圧差や音質差、仕様の違い等は気にならなくなるでしょう。
(注 電気的仕様が多少異なっていても、SPを定格入力ぎりぎりの大音量で鳴らすようなことをしない限り車内で通常聴取する音量で鳴らす分には代用可能です。)
先ず最初にテスター(回路計)でSPの端子極性を確認して置きます。
それには抵抗測定レンジで導通テストを行うような感じでテストリードをSP端子に瞬間的に触れさせてカリッ音を出させますが、この時にコーン紙が飛び出る方向に動くか引っ込む方向に動くか確認しておき、そうなるテストリードの色(マイナス端子に接続された黒色テストリードに内蔵電池のプラスが接続されています)と端子の方向をメモして置きます。
(注 これはSPの位相確認テストを意味しますが、テスターからの直流電圧が瞬間的にかかると直流電圧のプラス側がどちらの方のSP端子に掛かったかによってコーン紙が飛び出る方向に動くか引っ込む方向に動くかが決まるからで、ステレオシステムの場合左右のSPの位相が合ってないと定位感の無い頭の中でもやっとしたような変な聞こえ方になってしまうのでそうならないようにする目的で行っています。)
テスターが無ければ、電池1個とリード線で電池のプラス側がSP端子のどちら側に触れさせた時にコーン紙がどう動いたかを確認するという方法で代用出来ますが、テスターでやるにしても電池1個で代用するにしても瞬間的に触れてカリッ音を出させるだけで、間違っても繋(つな)ぎっぱなし(つまり直流電圧を掛けっぱなし)にするようなことはしないようにして下さい。
マジックインキで2Pオス型ソケットコネクタに結果を書き留めて置くと良いでしょう。
転用するSP側も同様に端子極性を確認して、2Pオス型ソケットコネクタを元のSPから外してリード線でハンダ付けして使う時にソケットコネクタのどちら側の端子を転用するSPのどちらの端子に接続すれば位相関係を元と同じに出来るか調べて置きます。
次に元のSPのフレームを利用して「取り付けアダプター」を製作する作業に入りますが、そこで破れてしまっているコーン紙とウレタンエッジを特に外周部分をはぎ取ってしまいます。
―― 続く(増補改訂に乞うご期待) ――
【あとがき】
SPのエッジ部分の主流は永くギャザード型(ギザギザの波型)でありコーン(円錐)部分と一体成形された紙製の時代が永く続いて、コーン部分と一体成形した紙製にするかどうかは別にして現在でも楽器用など大音量高耐久力が求められる用途で残っていますが、1930年にはエッジ一周を10前後に分割して少し円(まる)みをもたせた皮革をコーン部分に張り付けて作ったフリーエッジ型のものも市販されていました。
家庭用ステレオの高音質追求の過程でフリーエッジタイプがもう一度見直され、エッジ一周を分割せず更にエッジ部分を円形にした上で他の材質(コーテイングした布やゴム素材等)のものを貼り付けたフリーエッジSPが1975年頃から流行って今日に至っています。
コーテイングした布等のように長年月耐久力の有るフリーエッジ素材ならともかくコスト優先で直射日光や経年変化で劣化しやすいウレタンエッジを採用して製品化してしまうSPメーカーと、安易にそういう長持ちしないSPを自社製品に採用してしまう最終製品メーカーの姿勢に、使い捨てによる買い換え需要期待の下心を感じざるを得ません。
直射日光にさらされるという点ではカーステレオに限らず、古くは20年以上前の原宿竹の子族の大型ラジカセ路上使用以来花見・海水浴やハイキング等レジャーに持って行くのが一般化しており、そのラジカセの類でもウレタンエッジを採用したSPを搭載しているのを見掛けますが、筆者なら、長持ちしないようにして使い捨てさせて買い換えさせるような政策を採っている会社の製品は買う気になりませんが、はて皆様は・・・?
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