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引き戸の概要    v6.00 (2012/07/07)


引き戸の概要 と変遷

「引き戸」は英語で「sliding door」と表記する通り、開け閉めする場合に左右にスライドさせ(滑らせ)て行うようにした戸です。

「引き戸」が使われている例として、和洋室・玄関・車庫・倉庫・ベランダ等の出入り用引き戸、窓の引き戸、繋がり和室の間仕切り引き戸、廊下・縁側の引き戸、押し入れ・天袋・戸棚の引き戸、木製門塀の引き戸、雨戸の引き戸等等、築年数が長い古い家屋程扉は引き戸タイプが多く採用されており、敷居・鴨居に彫られた溝に「戸車なし引き戸」をはめ込んで使用するか、鴨居は溝を彫り敷居にはレールを張り渡して「戸車あり引き戸」をはめ込んで使用するか、アルミサッシ窓のように既成サッシ枠が溝又はレール様の構造を形成していてそこに「戸車あり引き戸」をはめ込んで使用するようにしたもの等が見られます。


金物の戸車やアルミサッシが発明される以前は、「扉(とびら)」と言えば日本の木造家屋では時代劇の場面で見られるようにすべて木製の「引き戸」か「開き戸」でした。

木造家屋の「引き戸」では古来、柱と柱の間に渡した床側の敷居(しきい)と天井側の鴨居(かもい)のそれぞれに戸をはめ込む為の溝を彫り、左右にスライドさせ(滑らせ)て開け閉めする戸たる「引き戸」をその溝にはめ込んで使用していました。

木造家屋の建築材料たる木材というものは、切り倒してから年数が経つにつれてどんどん乾燥が進み、家を新築してからも乾燥し続けますから、少しづつ反ったりして建付けに狂いが生じて行き、特に柱と柱に渡した鴨居(かもい)の中央部分がたわんで下がり、本来ある程度有った筈の「引き戸」との多少の隙間が次第に無くなって行き、終いには鴨居が下がり過ぎて「引き戸」の動きを悪くしてしまう事があります。
   (参照: 戸車なし 木製引き戸 の修理・調整)

窓用や「引き戸」用の「板硝子」なるものが作られる以前は、「引き戸」(木製)と言えば木で骨を組み全面板張りの「板戸」か、障子(しょうじ)紙が貼られた「障子(しょうじ)」か、多くは絵が描かれた襖(ふすま)紙や布が両面に貼られた「襖(ふすま)」に分けられましたが、「板硝子」が作られるようになってからは何枚かの「板硝子」をはめ込んで作った「硝子戸」も加わり、昨今では上半分は障子貼りで下半分を表側硝子はめ込み・裏側可動障子貼り枠にした「障子硝子戸」とでも言えるようなものも加わりました。

和紙で作られた「障子(しょうじ)紙」は新しい内は保温・吸湿性に富んでいて、「硝子戸」が出来る前は唯一外の太陽からの明り取りが可能だった「障子(しょうじ)」でしたが、「障子(しょうじ)紙」は日焼けし易く昨今の石油ストーブの燃焼ススが吸着されて変色が目立ち易い上破れ易い事から、出来れば毎年「障子(しょうじ)紙」を貼り替えるよう推奨されて来ました。
   (参照: 戸車なし 木製引き戸 の修理・調整)

又、敷居(しきい)に彫られた溝の中をスライドさせ(滑らせ)て「引き戸」を開け閉めする内に、戸が傾き加減になって行ったりして滑り摩擦が大きくなって、終いには敷居(しきい)の溝を「引き戸」で削って行く現象が現れ、「引き戸」の動きが悪くなり片手で開けられなくなってしまう事も有ります。
   (参照: 戸車なし 木製引き戸 の修理・調整)


後年、金物の戸車が発明されて「引き戸」の敷居側にこれを取り付け、敷居(しきい)には溝を彫る代わりに鉄製レールを釘付けする事で、従来の滑り摩擦方式よりより動かせ易い転がり摩擦方式の「引き戸」にする例が、重量が重くなりがちな「硝子戸」や「板戸」で多くなりました。
   (参照: 
戸車あり 木製引き戸 の修理・調整

戸車は、戸車の車輪のレールに当たる(接触する)接触面が平らな「平」タイプと、接触面が丸くレールの断面型にえぐったような「丸」タイプと、接触面が平らなだけでは車輪がレールから外れてしまうのでレール外れを防止する車輪より突き出たツバのようなものを車輪の両側に備えた「袖平」タイプに分けられます。

戸車の車輪の材質は、鍛造(たんぞう)又は鋳造(ちゅうぞう)した鉄で作った鉄製、真鍮(しんちゅう)で作った真鍮(しんちゅう)製、錆にくいステンレスで作ったステンレス製、プラスチックを採用したプラスチック製がありますが、最初は鉄製が作られて使われ始め、鉄製では雨水の当たり易い所では錆(さび)付いて車輪が動かなくなってしまう欠点があった為その対策用に真鍮(しんちゅう)製が開発され、更に錆(さび)にくいステンレスが発明されるとステンレス製が開発され、今では安価で錆(さび)とは無縁なプラスチック製に取って代わられるようになりました。

戸車の車輪が鉄製や真鍮(しんちゅう)製の「袖平」タイプのものは、長年の使用で本来平らだった車輪の接触面がレール溝状に片減りしてレール外れを防止する車輪より突き出たツバ部分とも摩擦が大きくなって、引き戸をスムーズに開け閉め出来なくなったりする事が有ります。
   (参照: 
戸車あり 木製引き戸 の修理・調整

雨水の当たらない屋内の引き戸であっても、湿気の多い屋内トイレや風呂場等の出入り戸として使っている場合、湿気で戸車の車輪が鉄製だと錆び付いて引き戸をスムーズに開け閉め出来なくなったりする事が有ります。
   (参照: 
戸車あり 木製引き戸 の修理・調整


車輪の大きさは、木製引き戸用では30ミリタイプが一般的ですが36ミリタイプのものもあり、同じ30ミリタイプでも戸車の取り付け穴間隔がメーカーによって異なり、初期の鉄製戸車に一般的だった55ミリ間隔を踏襲したメーカーの他に55ミリより大きい間隔を採用したメーカーも有るので、戸車の交換修理の際には引き戸に彫り込まれた戸車穴にそのまますっぽり収まる外形寸法で作られているかどうかのチェックが重要となります。
   (参照: 
戸車あり 木製引き戸 の修理・調整

初期の頃から戸車の車輪の軸部分にはベアリングが採用されて来ていますが、オイルレス・メタルが発明されるまでは経年と共にベアリング部の油切れによる摩擦が増大して、ベアリングの磨耗進行が酷くなり、終いには車輪がスムーズに回らなくなって引き戸の動きが悪くなり、戸車を交換せざるを得なくなります。
   (参照: 
戸車あり 木製引き戸 の修理・調整

鉄製レールは雨水による錆(さび)対策用に真鍮製レールが作られたり、後年安価で錆びず加工が楽なプラスチック製レールに置き換わって行きましたが、上述したような戸車の鉄製車輪がスムーズに回らなくなった引き戸を開け閉めし続ける事によってプラスチック・レールが削られてしまったり、温度等での伸び縮みが原因でプラスチック・レールが破断してしまう事があります。
   (参照: 
戸車あり 木製引き戸 の修理・調整


鉄筋コンクリートのビルが建てられるようになると窓には戸の重さに難点がある鉄製サッシが先ず採用されて行きましたが、軽くて加工のし易いアルミサッシ製にやがて取って代わられ、気密性が高くて暖房冷房効果が高められるアルミサッシ窓が一般家庭用にも普及するようになって行きました。

アルミサッシ窓では、既成サッシ枠が溝又はレール様の構造を形成していてそこに「戸車あり引き戸」をはめ込んで使用するようになっており、敷居(しきい)側が溝構造のものは戸車の車輪はプラスチック製の「平」タイプが採用され、敷居(しきい)側がレール様の構造を形成しているものは戸車の車輪がプラスチック製の「くさび」タイプが採用されています。

経年と共に塩分を含んだ雨水にアルミが侵されて、アルミサッシ枠が股開きのように広がったり一部欠けたり穴が明いたりする事があり、又戸車の動きが悪くなったりして交換修理が必要となる事が有ります。
   (参照: 戸車あり アルミサシ製引き戸 の修理・調整)



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