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高熱・煙発生    v6.00 (2012/09/10)


ナカトミ産業(リキサンダ) SD−300Sの高熱・煙発生からの修理

【機種】

ナカトミ産業(リキサンダ) SD−300S
(角型底部、市販サンドペーパー使用、AC100V、180W、50/60Hz、10,000RPM)



【概要】

「やすり掛け時の異常高熱・煙発生」からの復元


【症状】

ナカトミ産業社(中国製)電動サンダー「リキサンダ SD−300S」を使用していて、すごく熱くなって来たなーと思いながら使用し続けていたら、中から煙が出始めた。
    [木材をやすり掛けした時に内部に入り込んだ木の微粉末が、モーターで発生した熱で発火前段階の煙発生状態に至ったものと思われる。]


【修理方針】

取扱説明書等付属品も不備なリサイクル品で、完動品かどうかも不明な手探りのスタートとなったが、取敢えずは市販サンド・ペーパー(紙やすり)をセットして電動サンダーとして使える事を確認。
参照: トニックス トップ>リサイクル>サンダーのコツ> )


【修理難易度】  ○容易   普通   やや難   かなり難


【修理必要工具等】

ドライバー(ネジ回し)、

電気掃除機(先細ノズル、ブラシ・ノズル)、   曲がりストロー

モーター油(ミシン油で代用可)


【修理手順】

§1  動作チェック

取扱説明書等も揃って無く、電動サンダーが完動品かどうかも不明な時や電動サンダーが取敢えず動くかどうかを試したい場合は、

@ 先ず電動サンダーの底部分にサンド・ペーパー(紙やすり)を挟み込み取り付ける為の歯型板バネが壊れていたり等していなくて、サンド・ペーパー(紙やすり)を挟み込み保持する機能が有効かチェックします。

A 次に電源コンセントに繋いでスイッチをONさせて電気マッサージ器のような微振動を生ずるかどうか確認します。

以上2つのチェック項目がOKなら、取敢えず電動サンダーとして使えそうだと確認出来ます。
参照: トニックス トップ>リサイクル>サンダーのコツ> )


§2  やすり掛けチェック

電動サンダーの底部分に市販サンド・ペーパー(紙やすり)を挟み込み取り付けるには、先ずサンド・ペーパー(紙やすり)を挟みで電動サンダーの底部分よりやや大きいサイズで切り出す必要が有りますが、サンド・ペーパー(紙やすり)を挟み込み取り付ける為の歯型板バネが有る側の縦幅サイズは底部分の長さに加えて「挟み込みのりしろ」を考慮した長さに、横幅サイズは底部分と同じか少し(数mm)加えた長さにします。

挟み込み取り付けする歯型板バネを持ち上げながら切り出したサンド・ペーパー(紙やすり)の一方の端を挟み込みセットしたら、同様に反対側の端を挟み込みセットしますがサンド・ペーパー(紙やすり)と底部分に隙間が無いように引っ張りながら挟み込みします。
    [挟み込み取り付けする歯型板バネを持ち上げるのに指先では力が入らないと言うのであれば、ドライバーの先を隙間に差し込んでテコのようにしてやってみても良いでしょう。

木材をやすり掛けした時に内部に入り込んだ木の微粉末を集塵する集塵袋が取り付けられるようになっている場合は、集塵袋をきちんとセットします。
    [集塵袋のゴムが伸びてしまっている場合は、輪ゴム等を使って有効に機能するようにセットしてやります。]


やすり掛けするには、やすり掛けしたい材料(例えば木材)に電動サンダーのサンド・ペーパー(紙やすり)部分を押し当てて電源スイッチをONし、上から強く電動サンダーを材料に押し当てながら少しづつ動かして行きます。


手作業でサンド・ペーパー(紙やすり)を使ってやすり掛けしていた時のような仕上がり感が得られていれば、電動サンダーとして十分機能している事になります。


§3  分解チェック

サンド・ペーパー(紙やすり)が取り付けられていれば取り付けた時と逆の手順でサンド・ペーパー(紙やすり)がちぎれ無いように取り外しますが、
挟み込み取り付けする歯型板バネを持ち上げながら一方の端の一部を少しづつずらしながら外して行き、もう一方の端も同様に行います
    [外したサンド・ペーパー(紙やすり)は擦り切れて再使用に耐えないと言うので無い限り、再び取り付けて使用します。
     
挟み込み取り付けする歯型板バネを持ち上げるのに指先では力が入らないと言うのであれば、ドライバーの先を隙間に差し込んでテコのようにしてやってみても良いでしょう。


ドライバー(ネジ回し)で「側面のネジ」(本体ケース止めネジ)5本を外して保管、更に「底部のネジ」(底部支持部品止めネジ)4本を外して保管します。

電動サンダー「SD−300S」本体ケースは2つに割れ、底部がモーター軸受けを兼ねるような構造なので、「側面のネジ」「底部のネジ」を外した後、先ず一方の片側側面ケースを外します。
    [本体ケース内には、モーターが縦に配置され、そのモーター軸は「上側軸受け」「下側軸受け」「底部軸受け」の3つの軸受けで支えられ、「上側軸受け」「下側軸受け」は1円玉数枚重ねた厚みの円柱形状で本体ケースに空回りしないようきつく嵌合(かんごう)〔はまり合うこと〕しているので、一方の片側側面ケースを外すにはこの「上側軸受け」「下側軸受け」の部分がすんなり外れませんがケースが破損しない程度に力を入れて引き剥がすと外せます。]

一方の片側側面ケースが外せたら、ケースの中でどのように各部品がセットされているか十分に記憶してからもう一方の片側側面ケースも外します。
    [本体ケース2つ、モーター(底部と一体)、モーター・ブラシ基板、ワイヤ・ハーネス(電源ケーブル、スイッチ、モーター・ブラシ基板への接続端子)、歯型板バネ一体型底部支時サポーター2つに分解出来ますが、モーター・ブラシ基板には2つの「スプリング付きブラシ」がはめ込まれており、モーターをケースから取り外すと2つの「スプリング付きブラシ」もモーター・ブラシ基板から外れてしまいますのでなくさないように注意します。]

分解出来たら電気掃除機で付着している木の微粉末を吸い取ってやります。
    [先ず「先細ノズル」を掃除機ホースに付けて粗吸い取りし、次に「ブラシ・ノズル」に付け替えてブラシでこびり付いている微粉末をこそげ落としながら吸い取り、更に「曲がりストロー」を「先細ノズル」に差し込んで手指で吸い込みの隙間を塞いだ形でピンポイント吸引力を向上させながら、出来るだけ隅々まで細かく吸い取ってやります。]


幸いこの分解で「上側軸受け」「下側軸受け」「底部軸受け」に「油注し」し易くなったので、分解ついでにモーター油(ミシン油で代用可)を「上側軸受け」「下側軸受け」「底部軸受け」の3個所に1・2滴ほどづつ「油注し」してやります。
   [「オイル・レス・メタル」(軸受金属生成過程で無数の泡空洞が生ずるように作り、出来た空洞に潤滑油をしみ込ませて油が保持されるようにした金属)が発明される以前の昔の電気扇風機では、毎年夏場の使用開始前にモーター軸受けに注油してから使用するように推奨されていました。
    日本企業の「オイル・レス・メタル」の発明により、これが各種軸受に採用されてからは軸受金属に潤滑油が十分保持されているとして、扇風機モーターも年1回注油して使い続ける必要がないとされ、モーター軸受に注油する為の機構も省略されるようになってしまいました。
    しかし、三洋電機(SANYO)やアイワ(AIWA)など中国製造移管で価格の安さを売りにするメーカーが増えると共に、中国製モーターの使用製品が増えて来ると、次第に粗悪なオイル・レス・メタルでモーターが作られている事が露になって来て、本来注油し続ければ何十年と使い続けられる筈の「モーター」がたった数年で油切れし発火事故に至ると言う事例が相次ぎ、商品寿命の短さや信用の失墜で企業として立ち行かなくなって会社を身売りしてしまっています。
       (
参照: トニックス トップ>修理・治療法>石油ストーブ修理>石油ストーブの概要> )
    従って、中国製モーターの軸受オイル・レス・メタルの品質は全く信頼出来ないので、分解ついでに「油注し」して置くと良いでしょう。]

「油注し」した後数回モーターの「回転子」(モーター軸に取り付け一体化させた「磁石」や銅線を糸巻きのように巻いた「コイル」等の事)を指で回してやり、油が軸受全体に広がり馴染むようにします。

ところが、本来モーター軸というものは360度(゜)回転出来るように作られて、毎分何回転(RPM)するかがモーターの1つの性能表示項目であり、本電動サンダーの場合「10,000RPM」(毎分10,000回転)と表示されているのに、何故かモーター軸が2・30度(゜)しか回転出来ないように作られていました。
    [電動工具トップメーカーのマキタ製電動サンダーもそのように作られているのか分かりませんが、これでは折角モーター軸に「集塵袋送風兼用モーター冷却ファン(羽)」が取り付けられていても、たった2・30度(゜)の回転角度では強力な送風能力が実現出来ず、モーターを冷却出来ないし十分な集塵袋送風も叶わない。
     モーターが冷却されないという事は、使用開始から時間と共に発生した熱がどんどん蓄積されて高熱状態になり、十分な集塵袋送風も叶わなければ折角集塵袋が備わっていても木の微粉末が集まらないし、結果木の微粉末がモーターに纏(まと)わり付いてしまい、終(つい)にはモーターに纏(まと)わり付いた微粉末が冷やされないモーターの高熱にさらされて発煙に至ってしまうだろう事は容易に想像がつく。]

設計不良の欠陥商品とも受け取れるもので、修理のしようが無かった。

それでも分解したまま感電事故にならないように注意して電源を繋いでスイッチ「ON」にしてみると、モーターは回らないが電気マッサージ器のような微振動は発生するので一体これは何なんだと不思議千万だった。


結局、内部に溜まった木の微粉末を掃除機で吸い取り、軸受に油注ししただけで、元の通りに組み立て直す事とした。

再組み立てには分解した時と逆の順序で組み立てて行きますが、先ず一方の片側側面ケースに歯型板バネ一体型底部支時サポーター2つとモーターに一体化された底部とを元のように少しはめ込んで、更にモーター・ブラシ基板、ワイヤ・ハーネス(電源ケーブル、スイッチ、モーター・ブラシ基板への接続端子)を元のように組み立てセットしながらはめ込み、特に2つの「スプリング付きブラシ」はモーター・ブラシ基板にはめ込みながらモーターの所定の位置にセットされるようにし、最後に「上側軸受け」「下側軸受け」が空回りしないようにケースにきつくはめ込みます。

次にもう一方の片側側面ケースも同様にはめ込み、外した「側面のネジ」「底部のネジ」を元通りに締めてやります。

電源を繋いでスイッチ「ON」し、分解前と同じ様に底部が微振動する事を確認します。

取り外したサンド・ペーパー(紙やすり)を元の通りにセットしてやります。



----  続く (請うご期待!) ----



あとがき

電気マッサージ器は通常、モーターは360度(゜)回転しますが、モーター軸に非対称のおもりを取り付けているので、振れ振動が大きくなり結果としてマッサージに適した微振動を発生させる事となります。

電動サンダーもこのような原理で微振動を発生させているものと想像していただけに意外でした。

しかし360度(゜)回転しないモーターというものには違和感があり、折角モーター軸に「集塵袋送風兼用モーター冷却ファン(羽)」が取り付けられていても、たった2・30度(゜)の回転角度では強力な送風能力が実現出来ず、モーターを冷却出来ないし十分な集塵袋送風も叶わないというのも、同じエンジニアとして納得出来ていません。

たった2・30度(゜)の回転角度になってしまっている原因は、回転子の組み立て段階で生じた接着剤突起が固定子(回転子の外周に位置する磁石や銅線を糸巻きのように巻いたコイル)に当たって360度回転を妨げているからです。

偶然なのかモーターが直ちに壊れないでこの状態でも電気マッサージ器のような微振動が得られているので、もしかしたらモーターの組み立てミスに気付かず、製品検査にパスしてしまったとも考えられます。

360度回転を妨げている接着剤突起を削り取るかして微調整してやれば、360度回転出来そうですが今回はそこまで踏み込んでの修理はしませんでした。


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